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加藤 友彰; 香西 直文; 田中 万也; Kaplan, D. I.*; 宇都宮 聡*; 大貫 敏彦
Journal of Nuclear Science and Technology, 59(5), p.580 - 589, 2022/05
被引用回数:4 パーセンタイル:56.94(Nuclear Science & Technology)本研究は、福島第一原子力発電所の汚染水処理施設において、地下水に一般的に含まれる天然有機物であるフルボ酸が、活性炭に吸着除去されると考えられる放射性ヨウ素の化学状態に及ぼす影響を検討した。フルボ酸が無い場合、活性炭に吸着したヨウ素の化学状態は変化しなかったが、ヨウ化物イオンはヨウ素酸イオンよりも活性炭に吸着しにくかった。フルボ酸がある場合、吸着したヨウ素酸イオンの一部がヨウ化物イオンに還元した。本研究結果は、使用済み吸着材の長期保管中にヨウ素酸イオンの還元が進行することを示唆する。
端 邦樹
材料と環境, 70(12), p.468 - 473, 2021/12
東京電力福島第一原子力発電所の汚染水中の腐食環境の評価においては、建屋内が放射線環境下にあるため、水の放射線分解(ラジオリシス)により生成する過酸化水素(HO)等の酸化剤の影響を考慮する必要がある。ラジオリシス過程及びそれにより発生する酸化剤の生成量は水質や放射線の線質などに依って変化する。そのため、この10年間、水の放射線分解に寄与しうる様々な要因(海水成分、酸化物の表面の作用、核種等)を対象に研究が進められてきた。本稿では、汚染水中の腐食環境のより深い理解に繋げるため、これらの要因のラジオリシス影響について解説する。
眞田 幸尚
Isotope News, (772), p.21 - 25, 2020/12
空気中や水中での飛程が比較的長い線は、直接測定することが簡単だが、飛程の短い線は直接測定することが難しく、早期の異常検知や環境影響の評価のためリアルタイムのモニタリング技術の確立が求められていた。弁別型ファイバ検出器を用いた水モニタの開発を行った。ここでは、モニタの性能及び開発経緯についてまとめる。
吉澤 厚文*; 大場 恭子; 北村 正晴*
人間工学, 54(3), p.124 - 134, 2018/06
東日本大震災に端を発し、東京電力福島第一原子力発電所は、放射性物質を大量に放出する過酷事故となったが、その後冷温停止状態を達成した。しかし、福島第一原子力発電所事故に関するさまざまな機関による調査報告書は、事故に至った過程に着目している一方で、事故の拡大の防止や被害の減少についてはほとんど着目していない。本研究は、福島第一原子力発電所の3号機における、冷温停止状態達成までの過程に着目した。公開データに基づき、事故の発生から冷温停止状態達成に至るまでの時列を整理し、それらを人間工学的視点によって行為群を分類した上で、状況の回復に重要な意味をもつ対処をm-SHELモデルを援用して分析した。このようなアプローチにより、状況の回復に必要な行為に関する新たな教訓を得た。
佐藤 淳也; 菊地 博*; 加藤 潤; 榊原 哲朗; 松島 怜達; 佐藤 史紀; 小島 順二; 中澤 修
QST-M-8; QST Takasaki Annual Report 2016, P. 62, 2018/03
福島第一原子力発電所における多核種除去設備から発生している廃吸着材は、多量の放射性核種を含有しており、処分のために発生した固化体への放射線影響が懸念されている。本件は、廃吸着材の模擬物をセメント固化した試料において放射線分解によって発生する水素ガス量の調査を目的として実施した。チタン酸塩, 酸化チタン, フェロシアン化物, キレート樹脂及び樹脂系吸着材を対象として、セメント固化材(普通ポルトランドセメント及び高炉スラグセメント)を用いて固化試料を作製した。量子科学技術研究開発機構高崎量子応用研究所のコバルト照射施設を利用して線の照射試験を行い、セメント固化試料からの水素ガス発生を調査した。試験の結果、セメント固化試料から発生した水素ガス量を求め、水素ガス発生のG値を算出することができた。
飯田 芳久; 中土井 康真; 山口 徹治
原子力バックエンド研究(CD-ROM), 24(1), p.53 - 64, 2017/06
東京電力福島第一原子力発電所において発生する汚染水処理二次廃棄物の長期的な保管のための技術的知見を蓄積することを目的として、東京電力から発表されている情報を汚染水処理二次廃棄物管理の観点でとりまとめた。そして、長期保管に際する保管容器の健全性に対する懸案事項として、塩化物イオン共存および放射線下でのステンレス鋼製容器の腐食、酸性条件および活性炭共存下でのステンレス鋼製容器の腐食、およびスラリーを収納した高性能容器(HIC)の放射線劣化を抽出した。
斎藤 恭一*; 小島 隆*; 浅井 志保
分析化学, 66(4), p.233 - 242, 2017/04
被引用回数:1 パーセンタイル:3.41(Chemistry, Analytical)福島第一原子力発電所では、放射性セシウムおよび放射性ストロンチウムを含む汚染水が毎日多量に発生している。本研究では、汚染水を効率的に浄化するため、Cs およびSrを捕捉する無機結晶が担持された繊維を作製した。担持する無機結晶には、それぞれ、Cs およびSrに優れた選択性を持つ不溶性フェロシアン化コバルトおよびチタン酸ナトリウムを選んだ。これらの無機化合物の沈殿を、放射線グラフト重合法によって市販の6-ナイロン繊維に接ぎ木した高分子鎖(グラフト鎖)内で析出させることにより、繊維表面に担持した。得られた沈殿は、多点の静電相互作用に基づいてグラフト鎖に巻き絡まるため、安定担持が実現する。本研究で提案する不溶性フェロシアン化コバルトあるいはチタン酸ナトリウム担持繊維は、従来の粒子状吸着材、例えば、ゼオライトやSrTreat(チタン酸ナトリウム担持樹脂)に比べて、吸着速度が大きく、無機化合物重量あたりの吸着量も大きくなった。
佐藤 淳也; 鈴木 眞司*; 加藤 潤; 榊原 哲朗; 目黒 義弘; 中澤 修
QST-M-2; QST Takasaki Annual Report 2015, P. 87, 2017/03
福島第一原子力発電所における汚染水処理に伴い、多核種除去設備(以下、ALPS)から発生する廃吸着材は線放出核種を含む多量の放射性核種を含有しており、処分のため作製する固化体への放射線影響が懸念されている。したがって、処分時の安全性の観点から、固化体中の水の放射線分解による水素ガスの発生を評価しておくことが重要である。本件では、ケイチタン酸塩とSb吸着材の模擬物を対象に、無機固型化材(普通ポルトランドセメント(OPC),高炉スラグセメント(BB)及びジオポリマー(GP))を用いて固化試料を作製し、線を模擬した電子線照射を行い、水素ガスの発生量を調査した。結果、模擬廃棄物の種類が電子線照射時の水素ガス発生量に影響を与えていることが示唆された。
佐藤 淳也; 鈴木 眞司*; 加藤 潤; 榊原 哲朗; 目黒 義弘; 中澤 修
QST-M-2; QST Takasaki Annual Report 2015, P. 88, 2017/03
福島第一原子力発電所における多核種除去設備(以下、ALPS)から発生している廃吸着材は、多量の放射性核種を含有しており、処分のために発生した固化体への放射線影響が懸念されている。本件では、ケイチタン酸塩及びSb吸着材の模擬物を対象に、無機固型化材(普通ポルトランドセメント(OPC),高炉スラグセメント(BB)及びジオポリマー(GP))を用いて固化試料を作製し、線の照射試験を行い、水素ガス発生のG値及び固化試料の含水率を調査した。結果、固化した模擬廃棄物の違いによるG値への影響が観察された。このことから、廃棄物に含まれる構成成分が固化試料の水素ガスの発生に寄与していることが示された。
須藤 俊幸
原子力・放射線部会報(インターネット), (19), P. 15, 2016/12
経済産業省の汚染水処理対策委員会トリチウム水タスクフォースの報告書では、薄めて海に放出する方法が最もコストが安く最短で処分できると評価されていることに関し、その放射能がどの程度のものなのか把握するための一助として、原子力発電所や再処理施設からの放出量と比較について述べた。
須藤 俊幸
技術士, 28(11), p.8 - 11, 2016/11
福島第一原子力発電所の事故から5年が経過し、原子力・放射線部会では発電所の現状を自ら確認し、技術士として情報発信すべく見学会を主催した。集合地点から発電所間の移動の際の風景、発電所での各原子炉、汚染水処理、構内、労働環境の改善等の状況について報告する。廃止措置に向けて現場は変化し続け、必ずしも順調とはいえないが粘り強く地道に進展している。関係者の真摯な努力と使命感に感銘を受けた。
眞田 幸尚; 山田 勉*; 佐藤 義治; 西澤 幸康; 石橋 聖*; 渡辺 将久; 鳥居 建男
JAEA-Research 2016-011, 52 Pages, 2016/09
東京電力福島第一原子力発電所では、汚染水の管理が社会的な問題となっており、海洋への流出を防ぐためシビアな対応が必要な状況が続いている。タンクや側溝内の水中における放射性物質濃度をダイレクトに測定し、モニタリングする手法として、プラスチックシンチレーションファイバ(PSF)の適用が考えられる。そこで、汚染水タンクの漏洩監視や側溝における簡易的なモニターとして適用するために、福島第一原子力発電所敷地内において、基礎的な検討を行った結果をまとめる。
Schwehr, K. A.*; 乙坂 重嘉; Merchel, S.*; Kaplan, D. I.*; Zhang, S.*; Xu, C.*; Li, H.-P.*; Ho, Y.-F.*; Yeager, C. M.*; Santschi, P. H.*; et al.
Science of the Total Environment, 497-498, p.671 - 678, 2014/11
被引用回数:14 パーセンタイル:38.98(Environmental Sciences)pHを制御する溶媒抽出法と加速器質量分析(AMS)を組合せることにより、環境水中のI/I同位体比をヨウ素化学種(ヨウ化物イオン,ヨウ素酸イオン,有機体ヨウ素)別に定量する簡便な試料前処理法を開発した。本法は、試料水のイオン強度による影響を受けにくいことから、幅広い特性の環境水試料に適用できることが期待される。本法を米国サバナリバーサイトの地下水分析に適用して測定したI濃度を、既報の分析法(溶媒抽出-ガスクロマトグラフ質量分析法)と比較し、分析法の確かさを評価した。さらに同地域において、地下水中のI及びI濃度とそれらの化学種の空間分布を、地下水中のpH,酸化還元電位,有機物濃度等の地球化学的指標と合わせて解析した。結果として、同地域の地下水中のI/I比やI化学種は、強いpH依存性を示しながら変化することがわかった。
嶺 達也*; 三原 守弘; 大井 貴夫
JNC TN8430 2000-009, 35 Pages, 2000/07
TRU廃棄物の処分方法として、地層処分施設へ埋設する方法が検討されている。使用済核燃料の再処理埋設より発生するTRU廃棄物である低レベルプロセス濃縮廃液の固化体には、多量の硝酸塩が含まれている。硝酸塩は微生物の脱窒作用により、最終的に窒素まで還元される可能性がある。このため、嫌気条件での微生物による硝酸塩の脱窒にともなって発生する窒素が人工バリアの破壊や人工バリア中の汚染水の押し出しといった物理的な影響を与える可能性があることが指摘されている。したがって、脱窒能を有する微生物(以下、脱窒細菌と記す)が処分システムに与える影響は重要であると考えられる。本研究では、高アルカリ、還元性となる処分環境に対する脱窒細菌の耐性を調査することを目的として、脱窒細菌としてPseudomonas denitrificansを使用し、pH及びEhが脱窒細菌の活性に与える影響を把握するための実験的研究を実施した。その結果、pHが脱窒細菌の活性に与える影響については、本研究で使用した脱窒細菌では、pHが中性より高くなるにつれて低下し、pH=9.5以上では定量下限値以下となることが示された。Ehが脱窒細菌の活性に与える影響については、把握することはできなかったが、試験条件が還元環境に制御されていれば、脱窒細菌は活性を持つことが明らかとなった。いずれにしても、pHが12.5程度の高アルカリとなる処分環境条件においては、本研究で使用した脱窒細菌の活性はEhにかかわらず、中性領域での活性と比較すると小さくなると考えられた。
山本 忠利; 武部 愼一; 小川 弘道; 田中 忠夫; 向井 雅之; 古宮 友和; 横本 誠一*; 和達 嘉樹
JAERI-M 89-144, 23 Pages, 1989/10
低レベル放射性廃棄物最終貯蔵予定地より未撹乱状態で採取した4種類の土壌試料(ローム層上部、下部、砂層、凝灰質層)を用いて、実験室規模での核種移行試験を行った。流出液中の核種濃度はいずれの土壌においても、Sr、Csは検出限界以下で、流出したCoにおいても510Ci/mlの小さな値であった。土壌中の核種移行は、高濃度部分では土壌の種類に依らず、各核種の大部分が土壌表面付近に吸着したのに対して、低濃度部分では深部まで移行した。特にローム層上部でのCoの移行が大きかった。核種による土壌中移行分布の違いは、核種の化学形および土壌の種類の双方に依るものと考えられる。さらに核種の遅延係数をイオン形での移行が支配的である高濃度部分から計算し、10~10オーダの大きな遅延係数を得た。こられ土壌が大きな保持能力を有することが確認された。一方、低濃度部分については、非イオン形での移動が関与し、高濃度部分の値に比べて1~2桁小さな値を示した。
永井 晴康; 都築 克紀; 小林 卓也; 寺田 宏明
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故により、放射性物質が環境へ放出されるとともに、処理されないまま敷地内に存在する汚染水が漏えいする可能性がある。これらによる環境影響を評価するために、大気・陸域・海洋結合計算による放射性物質の環境中移行シミュレーションを試みている。結合計算では、複数のモデルを同時進行で並行計算させ、モデル結合プログラム(モデルカップラー)がモデル間の双方向データ交換を仲介し、モデルを一体化したのと同等な結合状態を実現する。福島への適用では、まず、大気モデルと陸域モデルの結合計算による、大気放出された放射性物質の地表沈着、土壌中移行、及び河川流出過程の試験計算結果を実施した。この計算において河川水流量を過小評価する問題について、1年間のスピンアップ計算において、地下水から河川への湧出を考慮することにより改善するとともに、融雪による流量変動の再現を試みた。その結果、阿武隈川の複数の測定地点での河川水流量の時間変動をほぼ再現できるようになった。
眞田 幸尚; 山田 勉; 高村 善英; 鳥居 建男
no journal, ,
核種に対して高感度のプラスチックシンチレーションファイバ(PSF)検出器を用いて福島第一原子力発電所敷地内に設置されている汚染水タンクの漏洩を監視するシステムを開発した。福島第一原子力発電所構内において汚染水に対する検出器の応答特性を求めるとともに、汚染水タンク周りに設置して試験測定を行ったので、その概要について報告する。
安倍 弘; 佐野 雄一; 竹内 正行; 駒 義和
no journal, ,
大気送気による撹拌系において廃スラッジ貯槽材料である炭素鋼の腐食挙動を評価した。大気送気により腐食速度は上昇するが、廃スラッジの共存により上昇傾向は抑制された。送気流量の低減や不活性ガスへの変更が防食策として有効であることを確認した。
佐藤 淳也; 中山 卓也; 川戸 喜実; 目黒 義弘
no journal, ,
福島原子力発電所における汚染水処理設備から発生した放射性スラッジは硫酸バリウム,フェロシアン化ニッケル,水酸化鉄が主成分であり、加えて多量の放射性核種を含有している。そのため、処分のためにスラッジを固型化した固化体への放射線影響が懸念されている。本試験では4種類の無機固型化材を用いた模擬スラッジ固化体について線照射を行い、水素発生のG値を算出するとともに、シアンガスの発生挙動を調べた。結果、セメント系固型化材においては、先行研究の結果とよく一致し、固化体中の自由水量がG値を決定する上で重要な因子の一つであることが示唆された。また他固型化材との比較では、自由水量とG値に一貫性が見られず、固型化材の種類も水素ガス発生に影響を与えている可能性が示唆された。一方、シアンガスはいずれの試料も検出下限値以下であった。
岡本 芳浩; 渡部 創; 永井 崇之; 北脇 慎一; 柴田 淳広; 野村 和則; 塩飽 秀啓
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故で発生した大量の汚染水処理で発生する2次廃棄物の正常を把握するために、模擬試料のイメージングXAFS分析を実施した。対象としたのは、ストロンチウムを捕獲するためのチタン酸吸着材などである。試験では、放射線照射環境による影響を調べるため、線および電子線照射も実施した。吸着対象であるSrと吸着材の骨格元素であるCsのイメージングXAFSを同画面について実施することで、両元素の分布の違いや化学的な相関関係を調べた。